ヒグマ対策

安全対策資料(羆被害に遭わないために)

羆とは

  • エゾヒグマ(Ursus Arctos Yesoensis)は日本では北海道のみに生息
    • 体長・体重は♂で約2m(180~350kg)、♀は約1.6m(100~180kg)になる。
  • 不作の年(異常気象のあった年)は人里に降りてきやすい。
    • 山親爺やオヤジと呼ばれることも。

羆の生態

  • 食性は雑食。植物食寄りの雑食性と表されるほどほとんどの個体はほぼ植物性の食べ物を食べる。
    • 季節ごとに食す食べ物は変化し、フキなどの山菜や木の実、昆虫も食べる。
羆の一年
    • 3~5月、ヒグマが冬眠から目覚め草本類を好んで食す。山菜ハンターとの遭遇が多いことからこの時期(4月)のみで年間の人身事故の3割近くを占める。
    • 6~8月、羆の繁殖期。食していた草本類が無くなり農作物を荒らす熊が出てくる。
    • 9~11月、冬眠前の活動期。木の実など栄養価の高いものを好んで食す。木にも登る。年間の人身事故の約4割がこの時期に集中する。
    • 12~2月、冬眠。母熊はこの時期に1~3匹の仔熊を出産。冬眠中の羆の巣穴を踏み抜き重傷を負った山林作業者のニュースは記憶に新しい。
  • 羆は一度手に入れたものに執着する。盗られたからといって取り返すと再度取り返しにやってくる。また、羆が手に入れた獲物に近づくことも危険→「福岡大ワンゲル部事件」「石狩沼田幌新事件
  • 警戒心が強く、嗅覚・聴覚に優れるが視覚はあまりよくない。人よりも先に気配を感じ取って逃げることが多いが、逆に悪天候や沢など嗅覚・聴覚の妨げがある環境では、ばったり遭遇する可能性も高くなる。しかし若い熊(3才ぐらいまで)は親を離れて日が浅くヒトへの好奇心や無知などから近寄ってくることも。
  • 爆竹、ロケット花火なども場合によっては隠れていた羆が驚いて飛び出し襲われることもある。
    • 基本、異常な危険個体(人肉の味を覚えたり、負傷した個体→「三毛別羆事件」「札幌丘珠事件」)でない限りヒグマが人を襲う理由は次の通り。仔熊を守ろうとするため(母熊)、若い熊の好奇心、突然の遭遇による自己防衛。
  • 羆は学習能力が高く、一度食べ物を与えてしまうと人から餌を得ようと近寄ってくる。羆に遭遇したときに羆の気を引くために食べ物を投げると逆効果になることも。
  • 背中を向けたり走り去っていくものに本能的に襲い掛かる。
  • 時速50㎞で走ることができるため自転車でも逃げるのは困難。
  • 夕暮れ、早朝に羆は行動する。

羆の痕跡

羆を事前に察知する方法として、足跡・フン・臭い・食べ残し(死骸)・爪痕・寝床などがある。
  • 足跡はその状態・形状からそこを通った時間と方向、羆のサイズ・性別・数などが推測できる。
    • 足跡の見方として直接法と間接法が存在する。
      • 直接法は足跡の状態から推測する方法で、地面が湿っている場合、新しい足跡ほど表面の光沢があり、境界線はより滑らかになる。(自分の足跡と見比べるとわかりやすい)。地面が乾燥している場合は境界線が不明瞭で起伏がほとんどなければ半日以上前のことが多い。足跡が水溜りになっていれば水溜りが濁っていれば新しいものと判別できる。
      • 間接法は足跡の周囲の状態から推測する方法で、足跡の上の葉などが踏まれた状態または葉の上の泥が湿っていれば湿っているほど新しいと考えられる。また、踏まれた草は水分があれば数日で立ち上がるのでそれによっても判断することができる。当然、足跡の上に踏まれた後に枝や葉が被さっていた場合は、熊が通り過ぎた後に被さったと考えられ強風などの発生の時間帯などから推測を行うことができる。
      • 羆の足跡は5本の指がくっきりと見え、前足の足跡には基本爪も見受けられる。前足の幅から♂♀や大人子供の判別も行える。足跡のあった環境にもよるが、基本ははっきりした足跡ほど新しいと考えるとよい。爪痕までくっきりしていれば、アンモは諦め引き返すこと。
  • 糞は、羆の食べたものがわかる。
    • 羆は消化能力が弱いので食べたものの色や匂いが残っている。サルナシを食べた糞は緑に、山ブドウを食べた糞は紫など。ジャムのような甘い匂いがする。
      • 羆の糞は大量で大きいものでは幅が50㎝を超え、20cmを超えるものは羆の糞の可能性が高い。
  • 羆の体臭には独特な臭いがある。イメージとしては動物園の臭い?羆が近くにいたり、通った直後、寝床などには臭いが残ることも。基本は近くにいるかもと考えた方がいい。
  • 鹿の死骸などは羆の食べ残しや匂いに釣られて羆が寄ってくる可能性があるので近寄らない。
  • 食痕は植物の場合繊維が残るような切れ口になっている。
  • 熊の寝どころは藪の真ん中に放射状に草が倒されていることが多い。近くに潜んでいることも多いので危険。

遭遇時の対応(ここに述べているのはあくまで体験談からなる一例であり、必ずしもこの対応で助かるとは限らない)

  • 羆がこちらに気付いていないとき→静かに後退して立ち去る。
  • 羆がこちらに気付いているとき→目をそらさず(目を合わせると襲われるとする説も)両手を挙げながら声をかけ(声量は普通程度)、後退する。熊と人の間に木や岩など視線を遮るようにすると熊の緊張を和らげることができる。
    • まだ近づいてくるときは、服や帽子、木の枝など羆の気をそらすために置いていく(食べ物はNG。人から食べ物がもらえると学習して、再度近づいてくる原因になる。)。鞄も防御に使えるので置かないこと。この際、決して取りに戻らないこと
      • それでも追ってくるとき、襲われたときは首を守りながらうつぶせになる防御姿勢をとるか、がむしゃらに暴れて羆に攻撃して退散するのを祈りましょう。これは最終手段。(鼻や喉元が弱点だが、抵抗すれば逃げたという報告も)(防御姿勢はアメリカや知床では推奨されていますが、羆のひっかきは皮膚を裂き、頭に喰らえば即死級なので選択は個人の判断次第かと)

  • 羆は威嚇で突進してくることがあります。ブラフチャージと呼ばれる脅しの突進なので決して背中を向けて走らないこと
  • グループがまとまり、決してばらけないことが大切。複数の被害の場合、ばらばらに逃げ出し、孤立したときに被害が起きている。
  • 走って逃げると追いかけてくる可能性がある。背中を見せてもいけない。羆は背中を見せたり走って逃げるものを襲う習性がある。
  • 木に登ったり、水に入ったりしない。木登りも泳ぎもクマはできる。(年老いた熊は木登りは苦手)

  • 羆の痕跡を発見したときはリーダーに報告し、リーダーは必ずこれを直接見て確認する事。リーダーは新しい痕跡の様なら撤退を決断する事。下は間違っていてもいいので怪しいことはすぐに報告する事。上は撤退を早い段階で決断する事

参考文献

  • クマに出会わないための基礎知識 KAMIの山登りメモ pcmbeta 閲覧日2016年8月3日
  • ヒグマ対策 札幌市 閲覧日2016年8月3日
  • ヒグマ研究室 なおち 閲覧日2016年8月3日
  • ヒグマの会HP ヒグマの会 閲覧日2016年8月3日
  • 狩猟の教科書 2016年6月1日発行 東雲輝之 秀和システム
  • 渡島のひぐま 北海道渡島総合振興局 保健環境部環境生活課自然環境係 閲覧日2016年8月4日

2016年8月4日 作成 文責・マーシー

  • 最終更新:2016-08-05 17:11:59

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